1/25/00
今朝またトイレが詰まった。
くそー、このおんぼろトイレが!また俺に恥をかかせる気か!
今回はもうどうでもよくなって詰まったトイレをほうってモーテルを出る。
今日はKey Westの方までドライブしてみるのだ。
KeyWestはフロリダの最南端に位置する島だ。
そこに世界で一番美しいDZがあるらしいのでうまく行けば飛んでみようと思っている。
マイアミまで約70マイル。そこから橋でつながった島々を通って最南端にあるKeyWestまで
行くのだがそれが150マイルも続いている。
マイアミから海に向かって車を走らせる。しばらくすると陸地が消えて、海しか見えなくなる。
見えるのは目の前の海を地平線まで貫く一本の道路だけだ。
両側の壁が少し高いので背伸びをしないとよく見えないのが残念だ。
最初はあまりの美しさに目を奪われるのだがこれが延々と続くのでだんだん眠くなってくる。
左右の縁石が手招きしている。以前その手招きに応じてしまったことがあるので途中
の浜辺で休みながら行く。
出発してから4時間ほどでようやくKeyWestに到着。
DZの場所がわからないので途中の観光案内で聞くと偶然にもここからすぐ近くのと
ころにあるらしい。
案内所のおばさんが言うにはファンジャンプは3000回の経験がないとだめという。そんな無茶な。
おばさんがDZに確認の電話を入れてくる。
『いまここにプロフェッショナルスカイダイバーが来ているんだけれど...』
プロフェッショナルじゃないって。
以前聞いていたとおり500回の経験があればいいとのこと。
今日はお客がもう来ないので明日来てくれとの事。
どうやらファンジャンパーはあまり来ないからタンデムのお客さんが来る時一緒にセスナに
のせてもらうらしい。一回35ドル。ちょっと高いけど景色がいいからまあいいだろう。
ということで島の周りをドライブしながら今日の宿を探す。
途中でヘミングウェイが滞在していたという別荘の横を通ったりする。
安そうなモーテルがあったので値段を聞く。なんと130ドル。うそこけー!
周りのモーテルをいろいろまわるがみんな高い。さすがにここは安いだろうという所でも90ドルする。
やっぱり観光地なので高いみたい。
でも人の弱みにつけ込むような商売にのるのもくやしいので別の島に探しに行く。
本土に近い方が安いに違いない。
島を渡っていくたびにどんどん安くなってくる。それにしてもここの宿のおやじたちは商売上手だ。
ほとんどのやつが、「うちがここの島で一番安いよ」としゃあしゃあと言う。
そんなおやじたちの口車にのるまいと探しつづけた結果KeyWestから30マイル
以上離れてしまったが45ドルの宿を探し当てる。冷蔵庫もついていて快適だがベッドが小さい。
171cmの僕でぎりぎり足がはみ出ないって感じ。体のでかい外人だったら絶対文句言うだろうな。
翌朝10時ごろDZに向かう。でもなんだか雲がかなり出てきている。いやな予感がし
つつもDZ、というよりDZらしきところに到着。まわりに木々や別荘が点在するなか
でウィンドソックスがぽつんとひとつあるからここかもしれない。
マニフェストをさがすとちょっと先になんか小屋らしきものが見える。
小屋とよぶのもちょっとはばかれるような小ささである。
すこし大きめの物置という感じ。そこに子供を抱えたおばさんがひとり。
聞くと、いまタンデムマスターがちょうど上から降りてくるらしい。空を見上げていると、降り
てきた、降りてきた。フランス人らしきタンデムマスターがドイツ人のお客さんをつるして降りてくる。
木々をよけながら少し開けた所にランディング。やはり500回の経験がないとここにランディングさせる
のはちょっと怖いようなエリアである。
その人の指示にしたがってウェーバーを書くのだがどう見てもこのウェーバーはタンデム用。
ライセンス番号等を書く所が全くない。まあいいっか。
僕以外のファンジャンパーはいないので次のタンデムのお客さんが来るまで待たなくてはならない。
1時半にお客さんが来るらしいのでそれまで昼飯を食べて時間をつぶす。しかし天気が思わしくない。
その時間になっても雲は晴れず結局ホールド。この分だと晴れるのは夕方になりそう。
今日またパームビーチの方に帰るし、夜運転したくないので後ろ髪を両手で引かれな
がらあきらめて帰ることにする。
まあ地上の楽園といわれたKeyWestに来れただけでもいいか。
帰りは結局道が込んでいて夜になってしまった。人気がない道を100キロぐらいで
走っていると突然ヘッドライトに何か大きな物体がうつる。
げっ!でかい動物が道路に横たわっている!
動かないからどうやら死んでいるみたいだ。
このスピードでよけると逆に危険なので車の下を通すようにする。
無事通ったかなと思ったら下でドカドカッていやな音がする。
うわ〜やっちゃった。でもあたりが真っ暗ななかに車を止める気にはなれない。
南無阿弥陀仏を唱えながら走り去る。
たぶん鹿か犬かもしれない。最初から死んでいるといってもいやなもんだ。
その日は鹿の霊に取りつかれたらどうしようと思いながら眠りにつく。
足が速くなるかな。

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